深い精神集中によって宇宙の真理を体得する「阿字観」瞑想法や、神秘の炎に祈願をこめる「護摩」の行法。ほとけを供養する数々の秘儀・秘法。聖なるほとけと俗なる身の合一をめざす、密教思想と実践の世界へ、読者を誘う入門書。 “聖俗合一”の境地をぬざす――日本密教の基本は、われわれは本来さとりの可能性をもっているという《本覚思想》を特徴とする《現世成仏思想》にあるといえる。すなわち、ほとけに代表される聖なるものと、われわれのような俗なるものが、何らかの状況下において合一しうるとする神秘主義の一種である。これは、筆者の言葉でいえば、聖と俗という元来次元の異なるものの関係であり、ベクトル的にいうと、垂直方向をもった構造である。そして、その垂直の関係が、可能性としては必ず結びついて成り立っていると確信するのが密教の信仰である。――本書より
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