挫折や惑いのなかで出会った一行の文章が、君を励まし、勇気づける。深い思索と体験が生んだ珠玉の言葉を選りすぐり、君に贈るアンソロジー。 心に染みる言葉――一度知ったら二度と自分を離れなくなる、いくつかの言葉の組合せというものがあるものだ。それはなにも、いわゆる名句・名言といったものとは限らない。友人があるときに言ったなんでもない言葉が君の中に突き刺さって、以後なにかの折に思いだされ、君の行動を律することもあろう。ある小説のなかで(従ってあるシテュエーションのなかで)言われている言葉の一つが、似たような状況に君が立たされた場合に、指導原理のように働くこともあるだろう。一冊の厚い本、しかもそれは名著といわれ、君も熱中した本であっても、その全部が全部に感心するということはめったにない。そのなかで本当に君のいわば急所に触れた言葉、そっくりそのまま覚えてしまって、以後なにかの折に口にする言葉は、大抵は一行か二行の短いものであるだろうとおもう。――本書より