『今昔物語』『御伽草子』などの古典名作のなかに伝えられた、こわいこわい鬼の話ばかりを14編えらびました。さまざまな姿に変身して、人を悩ませ苦しめる鬼、人の心の弱さにつけこんで悪事をはたらく鬼、美しい姫君をさらって命をうばう鬼など、世にもおそろしく、ふしぎな鬼たちの物語がいっぱい。
たいまつに照らしだされた者たちの姿を見て、修行者はおどろいた。それらは、人ではなかった。髪をおどろにふりみだし、目が1つしかない者だの、目が3つもある者だの、角が生えている者だの、口が耳までさけている者だの、いずれもおそろしい姿をしていたのである。
「さては、うわさに聞く百鬼夜行か。」――(「百鬼夜行に出会う」より)
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