東洋映画の若手プロデューサー・加瀬は、映画「日蝕の森」の製作に情熱を燃やしている。ところがその矢先、彼の眼前で主演女優の横井美奈がビルから墜死し、にわかに前途に暗雲が立ちこめた。しかも、何者かが加瀬を監視しているような気配も……。現在の事件からさかのぼり、戦後映画史の暗黒部を描く、野心的推理長篇。