遺産相続に絡むと見られる殺人事件が発生した。被害者・岡弘の父はがんセンターに入院中で、余命いくばくもない。母・久子は後妻で、弘の死は、相続者の法律関係を複雑微妙なものにした。叔父・京二郎の事件前後の行動も不可解である。だが、重要関係者には鉄壁のアリバイが……。幾重にも連なるアリバイの巧妙さで、推理小説界に反響をまきおこした傑作長編。