「なぜこんなことができるのか」に答える 理屈に合わないことを、理屈に合ったやりかたで実現する。 奇術では、理屈では起こりえないはずの現象をもののみごとに実現して見せる。しかしそれは、観客の目から見て、いかにも不合理なことが起きているように「見えて」いるだけである。実際に起きていることはきちんと理屈に合った現象なのだ。ただし奇術師はさまざまな手段でその理屈を隠してしまう。その手段もまたきわめて理屈に合ったやり方である。一見、不合理に見える現象を起こす合理的な方法と、それを隠す手段の両方を、科学的な道筋をたどってお話しよう。