信康の死で世継ぎとなるべきお万の子於義丸に、家康はなぜか父の情すら示そうとはしない。父と息子2人ながらに愛されその子を生んだ女の業、苛み憎みながらも断ち切れぬ執着に悩む男。絡みあった糸のごとき愛憎を呑み込んで時代は豊臣の天下となり、お万の運命はさらに過酷な転変をとげる。〈全3巻完結〉