真崎ちよは、強い季節風の吹き下ろす新潟県の石曽根で生まれた。幼い頃に父を失い、貧しい娘時代を過ごしたが、不幸な青春の中にあっても、やがて恋を知り妊娠する。しかし、愛する男は軍隊におり、男の両親は妊娠の責任から逃れようとするのだった。戦争がますます不利になってくる昭和17、8年の頃である。……むくわれぬ愛を信じ、燃える女心をむねに秘め、ひたすらに生きるちよの愛の旅路を哀しくうたう長篇ロマン。<全5巻>
榎本の元愛人だったみつの死は、ちよの孤独感を深める。榎本に抱かれながら、ちよは大人の世界の汚さを悲しむが、生きていくためには術もない。弥千枝はこうした母の醜さを憎み、東京へ逃れ、民俗舞踊に打ち込むが、その舞踊団も解散となり キャバレーで踊ることになる……。同じ苦しみの輪をひためぐる白鼠のように、母と娘の流転の人生を描く、第4巻。
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