禅門の異流 盤珪・正三・良寛・一休
◆権威など眼中になし! 激しく、自由に、そしてしなやかに“ほんとうのこと”を求めた禅の巨人たち◆
血まみれになるまで考え抜いた:“不生禅” 盤珪
徳川家旗本から42歳で出家:”在家禅”正三
厳しい自省を静かに徹底した:”大愚禅”良寛
人間性丸出し「大妖怪」:”風狂禅”一休
強烈な個性をほとばしらせた禅者たちがいた。かれらはいずれも、時の権威に背を向け、反骨をむき出しにして、まことに独創と言うべき道を選んだ。それはなぜか。かれらの言葉をふんだんに引き、かれらの激しく厳しい禅は「本流」にも劣らない「偉流」を成したのであったことを明らかにする。
鈴木大拙の愛弟子である著者が、自身のうちにある「万腔の反骨心」を投影させながら、激しく生き抜いた四者それぞれの禅のかたちを描いた異色作。
著者に師事した竹村牧男氏による解説をあらたに付した文庫化。
【本書より】
ひとたび禅経験(大死一番、絶後蘇息)を、わがものにしてからのちの、禅者の生き方は、まことに自由で、多彩をきわめている。そこにわれわれは、真に“個性的”な人間の生き方を見ることができる。(「まえがき」)
【解説より】
あらためて本書を読んでみると、実に巧みに必要かつ十分な解説を適切に施していることに気づかされた。(中略)それらのすべては、禅を究めた達道の士ならではの指摘である。(中略)各人の独自の本質を十分に描いていて重厚であり、読み応えのある書物となっている。この四人を一堂に並べての説述によって、日本の禅仏教がいかに豊かなものであるかが、ますます明らかとなっていよう。
【本書の内容】
まえがき
不生の仏心の説法・盤珪禅師語録
一 不生の人
二 盤珪禅の特色
三 不生禅の提唱
四 禅師の行履
二王坐禅と在家仏法・正三道人『驢鞍橋』
一 禅門の一匹狼
二 曠劫多生の修行
三 正三の二王禅
四 正三の在家仏法
わが詩は詩にあらず・良寛禅師詩集
一 大愚の生涯
二 詩でない詩(『草庵集』鈔)
風狂の禅と詩と・一休禅師
一 風狂の自由人
二 祖師禅の源流にくんで
三 栄衒の徒を呵して
四 狂雲は大徳下の波旬(悪魔)
五 性の自由境を謳歌して
六 「風狂の禅」私見
参考文献
(付記)序・著作集版に寄せて
あとがき
解説 「偉流の人」が描く、禅の圧倒的な個性と多様な魅力[竹村牧男]
*本書の原本は、1992年に筑摩叢書より刊行されました(初出は1967年に同社より刊行)
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