人類が永遠に続くのではないとしたら
本書は2011年の東日本大震災により起きた、福島第一原子力発電所事故に端を発する未曾有の危機を受け止めようとするなかで気付いた、自らの内奥の変化を問うところから始まる。地球規模とも思える危機に対して、人類はどのように責任を果たすべきなのか? その思考は、やがて過去の問題への問いから未来をいかに生きるかという問いへと移っていく――
「三・一一の原発事故は、私の中の何かを変えた。私はその変化に言葉を与えたいと思っている」――保険すら引き受けてもらえない、誰も責任をとりきれないほどの災害が「新しい性格」を持つと規定された。かつて無限と思われた科学技術の発展が有限ではないかと疑われる現代において、人はいかに生きていくのか。著者の真摯な態度でなされる思考の営みは、読む者を新しい境地へとたしかに誘う。著者後期の代表作である本書は、まさに「いまこそ真摯に読み返されるべき稀有な書」なのである。
©Atsuko Kato
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