我が産声を聞きに
コロナ禍、夫の良治に乞われ、病院に同行した名香子。肺がんの診断を受けた良治は、今日からは好きな人と暮らし治療をすると告げて家を出てしまう。人生をやり直すという一方的な言い分に、二十数年の夫婦生活を思い呆然とする名香子。自らの命と真に向き合ったとき、人は何を選ぶのか。直木賞作家渾身の作。
”もう一度”
人生をやり直したかったのは、
あなただったのか、それとも――。
自分のものなのに、こんなにも自分の力でどうにもならない人生を、
生まれてしまったという理由だけで、私たちは生きている。
角田光代(文庫収録書評より)
生まれ、生き、そして死ぬ。
それって一体何だ?
【目次】
0 兆し
1 影
2 告知
3 悪い冗談
4 苦い思い出
5 家出の原因
6 ミーコ
7 夫の恋人
8 失敗
9 帰郷
10 高級な終わり方
11 再会
12 枯向日葵
13 もう一度
14 産声
人生は作り上げられるのか 角田光代(「小説現代」2021年4月号掲載書評)
解説 國兼秀二
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