中国の道教(中国学芸叢書)
「道教とは何か?」この問いについて世界の道教学者の共通理解を見出すのは困難である。著者は道教の成立を後漢時代とする従来の通説を根底から批判し、5世紀中葉の天師道を母胎に成立したとして、儒・仏・道の三教の一つとして歴史的、具体的に道教についての明確な概念を初めて提示する。道教の宗教としての構造と教理、教団組織と信奉者の宗教意識、さらには道教の歴史を思想史的、体系的に一貫した視点から解説した画期的な概説である。思想研究のみならず歴史、文学をはじめ中国の基層文化と社会を理解するための必読書。
【目次より】
凡例
はしがき
目次
序章 「道教」の構造
一 「道教」の成立
二 「道教」の構造
三 「道教」と天師道
第一章 神仙道の形成
一五斗米道
二 太平道
三 葛氏道
四 上清派
第二章 「道教」の成立
第一節 天師道の成立とその思想
一 「三天」の思想
二 正一盟威の道
三 老子と『老子道徳経』
四 三洞説と「道教」
五 四輔説と道士の位階
第二節 教団の組織と教徒の生活
I 教団の旧制度 治と祭酒の制度
一 祭酒と道民
II 教団の改革
一 祭酒の戒の設置
二 道民の生活倫理
三 道士の職位の整備
III 教団の新制度 道館(道観)と出家道士の制度
一 道館の設置
二 道館での道士の生活
三 出家道士の位階制度
第三節 「道教」の世界観と修道法
I 世界観
一 天上界
二 人間界
三 三塗
四 南宮
五 洞天福地
II 修道法
一 護身法
二 滅罪法
三 長生法
第三章 「道教」の歴史
一 南朝の「道教」
二 北朝の「道教」
三 隋の「道教」
四 唐の「道教」
五 北宋の「道教」
六 南宋・金の「道教」
七 元の「道教」
八 明・清の「道教」
終章 「道教」の役割
注
あとがき
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