銀の庭

京都の名刹・聚閣寺の住職・栂春泉には、貞淑な妻と美しい2人の娘とがあった。ある年の5月、アカ新聞が誤解に満ちた筆で、春泉の私行を暴露した。寺の金を横領して、先斗町の女にバアを経営させているというのである。それは、燈全寺派法類間の政治的な争いの材料にされ、栂一家は蟻地獄に突き落とされた。事件の成り行きを通して、それは次第にあきらかになった。そして「法衣を着たけもの」の爪は、春泉の娘・圭子にも迫った。……慈悲の法燈の影にひそむ俗臭と本能とを執拗に追求し、そこに散る花びらの哀切な美しさを描いたこの連作は、水上文学を象徴する野心作である。

銀の庭

書店によって取り扱いがない場合もございますので、あらかじめご了承ください。電子書籍での価格は紙の本と異なる場合がありますので、詳しくは各電子書店でご覧ください。

オンライン書店で見る