夜の歌 上
私が初めてゴーストと出会ったのは昭和40年11月15日の深夜、心臓発作で入院した日のことだった。ゴーストはベッドに横たわる私に「吐息の交換」とやらを迫り、防毒マスクを着けさせた。そして、「最高塔に登り黄金の酒を飲んで、詩人としての至福のヴィジョンを手に入れる」ことを強いてきた。目覚めるとゴーストは消え、私は満洲の避難列車の中にいた。まるでタイムトラベルのように、少年時代の追体験が始まっていた……。
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