血の弔旗

著:藤田 宜永
定価:1,320円(本体1,200円)

1966年8月15日。根津謙治は、仲間たちと豪邸の前にトラックを止めた。戦後の混乱期に財を成した実業家から現金11億円を奪うためだ。その際、根津は不本意ながら一人の女性を射殺してしまう。それから14年。時効が近づいた頃、彼らの身の周りに新たな事件が続発する。首尾よく離散したはずの男たちの軌跡が再び交差する時、人間の業と事件の真相が明らかになる。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。


1966年8月15日、根津謙治は目黒区碑文谷二丁目にトラックを止めた。現金11億を奪うためだ。
戦後の混乱期に金貸しをはじめて財を成した原島勇平の屋敷から岩武弥太郎、宮森菊夫の二人と共に強盗計画を実行にうつした根津だったが、アクシデントにより屋敷に居合わせたクラブのママを射殺する。カーラジオからはローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』が流れていた。
この強盗計画にはもう一人、川久保宏が関わっていた。彼の役割はアリバイ工作。4人は奪った金を隠し、4年後の山分けを約束する。
事件は大々的に報道され、根津は厳しい取り調べを受けるが、4人の繋がりは誰にも知られず未解決のまま時は過ぎた。
戦時中4人は疎開の為、別々の出身地からほんの僅かな期間、長野県の郊外で机を並べた仲だったのだ。
事件後、根津は疎開先で世話になった教師・玉置の娘・鏡子と再会し関係を持ち結婚する。4人でした約束通り、1970年の終戦記念日に11億を取り出し分配した彼らは二度と会うこともないはずだったが、10年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。
「誰が何のために?」
混乱と疑心暗鬼の中、根津は煩悶する。
袂を分かった男たちの軌跡が再び交差する時、昭和を生きた人間の業と事件の真相が明らかになる――。
昭和の時代と風俗を克明に描写した”藤田宜永ノワール”小説。

血の弔旗

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