ライ麦畑でつかまえて
「それで君は、この高校をやめるんだね」
「ええ、そうなるでしょう」
スペンサー先生は、いつものように頭をうなずかせはじめた。
「サーマー校長は、君になんとおっしゃったのかね」
「ええと、人生はゲームだとか」
ゲームだって、そんなもの、クソ食らえ。
それから、先生は言った。
「君のご両親が校長先生のところに来られたとき、お目に掛かったが、立派な人物だなぁ」
「はい、そうです。とってもいい人です」
立派。なんて嫌な言葉なんだ。それを耳にするたび、胸がむかむかしてくる。
歯切れのよい文体で、思春期特有の少年の心理をみごとに描き上げた、サリンジャーの世界的ベストセラー。
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