死神うどんカフェ1号店 二杯目

中二の夏、溺れていた子どもを助けようとして、自らも命を落としかけた希子は、それ以来心を閉ざしてきた。そんな希子の前に、「死神うどんカフェ1号店」があらわれる。妙に人間くさい死神たちと、半死人となって生きている元クラスメイトの少年と過ごすうち、止まった時間が動きはじめて、希子は新たな夏を迎える。


「あー、やっと希子がきたー」
 店内に入るやいなや、底抜けに明るい声が希子を出迎えた。
 あわてて、しーっ、とくちびるの前に人差し指を立てる。
「だめですよ、一淋さん。お客さんがいるのに、大きな声出しちゃ」
「あれ? だめ?」
「だめです」
 くせ毛風のアレンジがほどこされた明るい色の髪に、あごが細く、目が大きいこの青年は、《死神うどんカフェ1号店》の従業員だ。
 無地の白い丸首Tシャツに、カフェの従業員風のギャルソンエプロンを腰の低い位置に巻くのが、このお店の制服の代わりになっている。
 福富一淋、といういかにも日本人らしい名前を持ってはいるものの、実際には、日本人でもなければ、人ですらない。
 その正体は、死神だ――。

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 中二の夏、溺れていた子どもを助けようとして、自らも命を落としかけた希子は、それ以来心を閉ざしてきた。そんな希子の前に、「死神うどんカフェ1号店」があらわれる。
妙に人間くさい死神たちと、半死人となって生きている元クラスメイトの少年と過ごすうち、止まった時間が動きはじめて、希子は新たな夏を迎える。

死神うどんカフェ1号店 二杯目

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