再発見 日本の哲学 佐藤一斎――克己の思想
佐藤一斎『言志四録』は、いまだに根強い人気を誇る箴言集です。かの西郷隆盛が信奉したことでも名高い。そこに書かれている思想とは、一体なんなのか?真の己を知り、志を立てる。近代日本の躍進を支えた秘密もそこからは読みとれます。今こそ、『言志四録』を!
佐藤一斎は、幕末に生きた儒学者である。幕府直轄の学問所、昌平黌の儒官として活躍した。それだけでは、幕末の官製の思想家ということになってしまうだろう。
しかし、彼の思想には、日本の近代化、明治維新の原動力となるエネルギーがそなわっていた。西郷隆盛が、彼の主著『言志四録』を抜萃して、つねに手元においたことからも、それはうかがい知ることができる。
佐藤一斎の思想を探究することは、また、西郷隆盛の思想を知ることでもあるのだ。
『言志四録』は、現代においても、根強い人気を誇る。ここから、企業人としての処世を学ぶ経営者も多い。
そのような人気をよぶ元となった、彼に思想の本質とは何か? 本書は、西郷隆盛の思想をも含め、そこに焦点を当てた、ほとんど唯一といっていい一般書である。
一斎は、儒学者でありながら、同時に、幕末に生きた一人の武士として、自己の独立を説いた。
士は独立自信を貴ぶ。
士はまさに己に在る者をたのむべし。
志・学・独立というものを、純粋に追求したその思想は、近代日本の通奏低音として、今に響いている。
一斎の言葉を、たんなる処世術としてではなく、日本の哲学として、繊細に、かつ怜悧に読み解いた、記念碑的力作。
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