四國遍禮道指南 全訳注
1687年刊『四國遍禮道指南』は、四國遍路の起源を示す重要な史料であると同時に、江戸以降ロングセラーとなった実用的なガイドブックです。江戸期に大師信仰を中心に、当時すでに確立されていた西国三十三観音巡礼などの影響下、四国巡礼が確立された。原本の読み下し、現代語訳、注、現代の地図に原本の道順を反映させた地図も掲載。実際に遍路する方々のガイドともなる。時間を超えた巡礼の旅に出るための一冊です。
1687年に板行された『四國遍禮道指南』は、四國遍路の起源を示す重要な文字史料であると同時に、江戸から明治期にかけてロングセラーとなった実用的なガイドブックでもありました。
四国遍路に先立ち、「辺地(へじ)」と呼ばれる遍歴をしながら修行をする僧侶の存在が『梁塵秘抄』や『今昔物語』にあり、平安~鎌倉にかけて存在したようです。その内実は不明ですが、アニミズム、原始神道、民間信仰に仏教や道教が混淆したようなものだったかもしれません。
江戸期になって仏教と弘法大師信仰を中心に、当時すでに確立されていた西国三十三観音巡礼や六十六部回国巡礼の影響を受け、四国巡礼が確立されたと推測できます。
この本を読むと、各札所で般若心経ではなく、お寺のご詠歌を三度うたうなど参拝方法の違いや、当時からお遍路さんに宿を提供する人がいたこともわかります。
江戸期の大阪は経済・文化の中心で、そこで原本が出版されたことも当時の社会状況を示しています。
本書では、原本の読み下し、現代語訳、語釈に加え、現在の地名や現在の状況、現代の地図上に原本の内容を反映させたものも掲載します。読むだけでなく、実際に遍路する方々のガイドともなるように作成しました。
時間を超えた巡礼の旅に出るための一冊。
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