作家という病
どこかしら「過剰」だからこそ作家なのだ--。小説新潮の編集に約30年携わり、同誌の編集長もつとめた著者が、鬼籍に入った思い出深い著者たちの記憶をたどる。渡辺淳一、山村美紗、遠藤周作、水上勉、井上ひさし、城山三郎、久世光彦……総勢21名の作家たちのそれぞれの業(ごう)を秘話満載で描く。
鬼、女帝、遅筆……。作家を作家たらしめる「過剰さ」とは何か。
全21人の作家の「業」(ごう)を秘話満載で描く。
●彼女の家の玄関チェーンを「ぶった切ってやる!」……渡辺淳一
●紫綬褒章を頑なに拒否した、意外にも肉食の人……城山三郎
●「すみません」を繰り返しながら原稿は遅れる……井上ひさし
●「ずいぶん儲けさせてやってるんやぜー」……遠藤周作
●賞品総額1千万円の福引が新年会の恒例行事……山村美紗
<本書の内容>
第一章 流浪の民
1 水上勉 風呂とめし 2 田中小実昌 カバンの中のカント 3 渡辺淳一 鈍感力と激しさと
第二章 硬骨の士
1 城山三郎 旗振らすな 2 結城昌治 心優しき正義漢 3 藤沢周平 内心の炎
第三章 二足の草鞋
1 伴野朗 朝日新聞記者 2 山口洋子 三冠王 3 久世光彦 倒れるような忙しさ
第四章 遅筆の理由
1 井上ひさし ひさしズム 2 都筑道夫 一人四役 3 綱淵謙錠 故郷喪失者の哀しみ
第五章 仕事をせんとや、遊びをせんとや
1 遠藤周作 仕事も遊びも 2 北原亞以子 なにくそが原動力 3 吉村昭 幸せだなあ
第六章 早すぎた旅立ち
1 山際淳司 スーパードライ 2 楢山芙二夫 岩手なまりのニューヨークのサムライ 3 多島斗志之 失踪
第七章 全身流行作家
1 黒岩重吾 作家という鬼 2 西村寿行 誰よりも犬を愛す 3 山村美紗 女帝の時代
「プロ作家が口を揃えて言うことだが、作家になるよりも、作家であり続けることのほうがはるかに大変だということである。作家であり続けるために、作家は自分の一部を過剰に肥大させるようになる。作家と呼ばれる人たちの「過剰さ」「内的エネルギーの膨大さ」それが、作家という病ということになるだろう」(本文より)
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