耳なし芳一からの手紙 名探偵浅見光彦の事件簿
●東京へと向かう新幹線が京都駅を出てまもなく、車中で殺人事件が発生した。グリーン車の座席にいた老人が、突然意味不明の叫び声を上げて立ち上がったかと思うと、ドアに向かって駆け出し、床の上で七転八倒した末に絶命したのだった。被害者は亡くなる直前「毒だ! あの女にやられた!」と口にしたという。確かに死因は毒物によるものだった。そして、女性を連れていたという目撃情報も得られている。ところが、警察によって全車両の捜査が行われたにもかかわらず、それらしい女性が見つからない。また、被害者の所持品のなかに差出人名が「耳なし芳一」となっている書簡があったのもいかにも謎を深めるばかりだ。下関での取材を終えてたまたま同じ新幹線に乗り合わせていた浅見光彦はその手紙に興味を持ったことから、またしても事件に巻き込まれていくのだった……!
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