火除け地蔵 立ち退き長屋顛末記
長男一家が行方知れずの富蔵お熊の夫婦、病弱な妻を抱える八百屋の正市、暴力夫から逃れてきたお静、拾い子のお染……深川の弥次郎兵衛長屋の火除け地蔵は、そんな住人たちを見守っていた。ところが一帯を火除け地として空き地にしたいお上は、破落戸(ごろつき)どもを使って住人たちに立ち退きを迫ってきた。物言えぬ地蔵が引っ越せないみんなを心配する、文庫書下ろし人情シリーズ第一作。(講談社文庫)
おれたちはワガママかい? お地蔵さんよ。
立ち退き騒動に揺れる弥次郎兵衛(やじろべえ)長屋。
脅しにめげず、残るは六世帯十人。
物言えぬ地蔵がひたすらみんなを心配する物語、
はじまりはじまり……
なにもお上に楯突こうってわけじゃない。
火除け地にするから出てけ、って言われても、
誰かを待ってたり追われてたり、事情を抱えた者ばかり。
お地蔵さんのいる、この長屋に住み続けたいだけなのに。
破落戸(ごろつき)どもを寄越して子供さらうなんざ、ひどいじゃないか。
時代小説文庫書下ろし新シリーズ!
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