慈悲をめぐる心象スケッチ

著:玄侑 宗久
定価:545円(本体495円)

「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。はたしてそうなのか。著者は反芻(はんすう)し、問い直す。しかし賢治はそう確信して「慈悲」を希求し、それゆえ自らに怒りを向ける。「世界のぜんたい」に人生を捧げる。痛ましいほど美しく清らかな賢治の想いを、同じく文学と宗教に生きる著者が描く。(講談社文庫)


宮澤賢治が求めて止まなかった「慈悲」と「利他」への想いを、同じく文学と宗教に生きる著者が、せつなくも実感を込めて描く。

「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。はたしてそうなのか。著者は反芻(はんすう)し、問い直す。しかし賢治はそう確信して「慈悲」を希求し、それゆえ自らに怒りを向ける。「世界のぜんたい」に人生を捧げる。痛ましいほど美しく清らかな賢治の想いを、同じく文学と宗教に生きる著者が描く。

――なにより人間の情愛は特定の相手に束縛されることであり、慈悲はその束縛から解放されて初めて発現する。古いウパニシャッドに「心の結び目をほどくこと」と表現されるのもそういうことである。愛は結び、慈悲はほどくのだ。――<本文より>

慈悲をめぐる心象スケッチ

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