幽界森娘異聞

著:笙野 頼子
定価:692円(本体629円)

彼女、彼女、この故人のこの活字の世界での名をいきなり「森娘」と命名する。本名森茉莉をそのまま使わないのは、私の描いているこの故人が、どう考えても本物の森茉莉とはずれた人物だから。鴎外と志けの娘、では決してないから。私が知っている森娘は、……「贅沢貧乏」という1冊の本の中に住まった1体の妖怪だ。私という作家の雑念と思い違いがそこにこごった、活字の怪でしかない。「作家は死んだ時その本の中に転生する」


声の作家と天才森茉莉
鏡花賞作家2人の言葉のセッション

猫たちを拾った森で、“彼女”に会った。生前は一度も会ったことがなかったのに。文豪の娘にして耽美の祖?! 森茉莉と運命的に遭遇した作家は、様々なイメージに翻弄される。作品の中に生きている彼女、この活字の森の中では「森娘」、と作家の関係性が、うねりながら浮かび上がり、符合する。泉鏡花文学賞受賞作。

幽界森娘異聞

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