貝殻一平(下)
大坂の武家屋敷の仲間(ちゅうげん)、のんびり屋の貝殻一平。ある人物と人相はもちろん、ほくろの位置までそっくりという奇縁が彼の人生を大きく変えた。その人物とは、新撰組につけ狙われる志士・沢井転(うたた)。かくて、一平の身に思いもかけぬ白刃が襲いかかる。飛騨谷一万石を賭けた藩主の遺児探索騒動もからみ、物語はなおもスリリングに展開していく。吉川文学の特色であるあたたかい眼が行間に溢れる出色の時代長編。
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