帝国議会 〈戦前民主主義〉の五七年
第二次大戦以前に、アジアの非キリスト教国で憲法と議会制度の定着に成功したのは日本だけであり、その裏には、官民一体となった営々たる近代化の努力があった。現在の「常任委員会制」と対照的な「読会制」、選挙の制度と実態、政党の役割、代議士の生活、弁論術と放言・失言の数々…。人々が「議会」に理想を描き、「政治」に熱く心を寄せた時代。そして、戦時体制へと向かう帝国議会の限界と、戦後の国会誕生の過程を検証する。
明治憲法下の〈日本の国会〉である「帝国議会」の成立から終焉までの歴史をたどり、その光と陰を検証する。
一般に「帝国議会」といえば、絶対的な天皇制下での制限選挙による不完全な民主主義、軍部の暴走を止められなかった無力な議会――といったイメージだろう。しかし、第二次世界大戦以前に、アジアの非キリスト教国で憲法と議会制度の定着に成功したのは日本だけであり、その裏には、官民一体となった営々たる近代化の努力があった。
また、戦後の国会との連続性の面でも、「二院制」「中選挙区制」や、選挙運動への規制の強さなど共通する特徴をすでに持っていた。そしてなにより、鳩山一郎ら戦後日本を方向づける大きな役割を果たした政治家の多くが、帝国議会に政治家としての原体験をもっていた。
本書では、現在の「常任委員会制」と対照的に本会議重視の「読会制」や、選挙の制度と実態、政党の役割、代議士の生活、弁論術と放言・失言の数々などを取り上げ、原敬や斎藤隆夫、尾崎行雄らの事績をみながら、人々が「議会」に理想を抱き、「政治」に熱く心を寄せた時代を描いていく。そして、戦時体制へと向かう帝国議会の限界と、戦後の国会誕生の過程を検証する。「議会政治とは何か」が根源的に問われている現在、その原点を知るための必読の書。
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