九番目の雲

著:山岡 ヒロアキ
定価:1,540円(本体1,400円)

オフィスのパワハラ地獄で同僚が失踪、一人暮らしの母親はアルツハイマーを発症し、妻との間にはすきま風が吹き始め、息子の様子もおかしい……。37歳の中堅メーカーの営業マンが、一度に押し寄せた人生の荒波を前に、ごまかし逃げることばかりの人生と決別し、正面からぶつかっていく中で、己の、そしてそれぞれの自尊心とは何かに向き合っていく。


中堅メーカーの営業マン、吾郎、37歳。
パワハラの嵐が吹き荒れるオフィスでは、ターゲットにされた同期の大江が失踪したとの噂が……。
また、近くに住む老いた母にはアルツハイマーを疑わせる兆候が現れ、それをきっかけに妻子との間には微妙なすきま風が吹き始める。
若き日に夢破れ、人を傷つけることも傷つけられることも避けて、ただただ日々を消費するように生きてきた吾郎が、この二つの出来事をきっかけに、自分らしく生きるとはなにか、自分にとって大切なことはなにか、自分にとって大切なのは誰なのかに向き合い、つまずきながら、答えを探していく。
ちなみに、クラウド・ナインとは英語で入道雲のこと。冒頭、一緒に風呂に入った息子が発したひと言から、主人公・吾郎の心に、この入道雲という言葉がひっかかり続ける。英語では、七階層ある天国のその二段階上ということから、「最高に幸せ」という意味もある。テンプテーションズ、ジョージ・ハリスンらが同名の曲、アルバムを発表している。

九番目の雲

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