ジャンヌ・ダルク暗殺

著:藤本 ひとみ
定価:2,090円(本体1,900円)

聖処女ジャンヌをめぐる野望と陰謀のドラマ!フランス救国の乙女ジャンヌ・ダルクの陰で活躍する娼婦ジャンヌ。激動の時代を生きた二人のジャンヌの運命をドラマチックに描く渾身の傑作歴史長篇小説! 平和は、戦いでしか創れない!神の声に従う処女と野望に燃える娼婦、悪をきわめた将軍たちがおりなす熾烈な歴史絵巻。はたして神は、誰を支持するのか。


平和は、戦いでしか創れない!
神の声に従う処女と野望に燃える娼婦、悪をきわめた将軍たちがおりなす熾烈な歴史絵巻。
はたして神は、誰を支持するのか。

外に出たとたんに、丘の向こうで閧(とき)の声が上がった。それを聞くと、ジャンヌは、もう自分を抑えることができなかった。餌をついばむ鶏や家鴨を蹴散らし、羊の群の真ん中を突っ切って、夢中で丘を駆け上がった。
フランス軍は、総くずれであった。思い音を立てて次々と落馬した重騎兵たちは、泥沼となった地面に埋まり、立ち上がろうとしてあがいた。その間を、イングランド軍の歩兵が歩きまわり、斧を振り下ろしては止めを刺していく。様々な形の盾や剣、旗が雨に打たれ、血に染まり、踏みにじられて泥の中に沈んでいた。
(本文より)

ジャンヌ・ダルク暗殺

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