日本の風景・西欧の景観 そして造景の時代

著:オギュスタン・ベルク 訳:篠田 勝英
定価:990円(本体900円)

ヨーロッパ近代が生んだ遠近法と中心がたえず移動する日本特有の空間。視線の差異の発見と再発見、野性空間・田園・都市における風景観念の比較を通して、主体――客体二元論たる近代景観論の解体を論じ、ポスト・モダンの風景=〈造景の時代〉を予見する。

風景としの田園――このような田舎の都市生活社たちは、周囲の環境に向けて、往時の農民とはもはやまったく無縁の視線を注ぐ。彼らにとっては田園はまず風景である。だからこそ彼らは田舎らしさの記号を、農家風の建築や手動ポンプの井戸を保存したいと熱烈に願う。そして反対に高圧線や野外広告等、風景を損なう近代経済の記号が拡がることに反対する。すなわち彼らはきわめて忠実な農村風景の守護者なのである。けれども彼らは農業にはまったく無縁で、たいていの場合、地域社会の新参者にすぎない。そのため地域社会は彼らに対して、しばしば煮え切らない対応を見せる。しかしながら田園の都市生活者の趣味嗜好は社会全体において支配的な潮流となり、そのため彼らの風景に関する主張が一般に優位に立つことになる。かつて都市生活者によって発見された田園風景は、こうして農民の消滅のおかげで田舎に対してさえも押しつけられるようになったのである。――本書より

日本の風景・西欧の景観 そして造景の時代

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