カンバスの中の女

一夜の真摯で奇妙な愛の営みのあと、黙って遠くに去って行った女。それを知った男の胸には、歯切れよい、爽快な空白感だけが残り、怨みがましさや未練などの感傷はなかった……。やもめ暮らしの中年の画家・俊彦の許に出入りする雑誌記者・由利子は、爽やかで不思議な魅力のある女。ある夜、酒の入った彼女は、妻ある男を愛し、その子を宿していることを告白してから、俊彦に狂おしく愛撫をせがんだ……。そして、由利子が何も知らさずに去ったあと、俊彦はカンバスに神秘的な女の姿を描くのだった。という微妙な女心とある愛のかたちを描く表題作の他に10編収録。

カンバスの中の女

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