思惑 百万石の留守居役(二)
幕政を握る大老酒井の狙いは、やはり外様潰しか。加賀藩主前田綱紀を次期将軍に推挙しようとする動きに、御三家はじめ江戸城内でも動揺が広がる。国元で唯一賛成の旗印を掲げ孤立した重臣人持ち組頭前田直作は、過激な御為派に狙われる。その直作の江戸召還に、護衛役で同行することになった瀬能数馬。御為派は中山道の難所碓氷峠で、一気に勝負を出た。数馬は血路を切り開けるか? そして藩の命運のかかった藩主の決断は?
徳川に藩主を渡せるかといきり立つ御為派(おためは)。藩主綱紀(つなのり)は国元で孤立する前田直作(なおなり)を江戸に呼んだ。数馬(かずま)がその護衛役に選ばれた。「堂々たる隠密」と加賀であだ名される五万石の筆頭家老本多政長は、出戻りの娘・琴を数馬と娶(めあわ)せる。その琴を金沢に残し中山道を急ぐ数馬。無事、峠越えを果たせるか!?<文庫書下ろし>
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