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中国外交戦略

中国共産党創設100周年(2021年)と中華人民共和国建国100周年(2049年)の「二つの百年」を見据えた中国の外交・安全保障戦略について考察。2015年10月現在までの習近平体制下の中国を中心に、胡錦濤、江沢民の時代にさかのぼり、四半世紀にわたる中国外交を検討します。衰えつつあるかにも見えるアメリカを、中国がどう評価し、対峙していくのか。その結果として日本との関係がどうなるのかを展望します。


 本書は、中国共産党創設100周年(2021年)と中華人民共和国建国100周年(2049年)の「二つの百年」を見据えた中国の外交・安全保障戦略について考察するものです。2015年10月現在までの習近平体制下の中国を中心に、胡錦濤、江沢民の時代にさかのぼり、四半世紀にわたる中国外交を検討します。
 課題とするのは、以下の三点。
 第一に、現在の中国の外交方針や国家戦略、安全保障戦略を、「過去から現在、現在から未来に向かうプロセス」のなかでとらえるならば、いかに整理できるか。中国共産党と中国政府の外交方針は、ソフトで協調的な外交方針を対外的に表明しつつも軍事力を増強しており、日本や一部のアジア諸国にたいしてきわめて強硬な対外行動を執るなど言動不一致で矛盾しています。著者は、党や政府の発言に潜む独特の論理を解きほぐし、こうしたわかりにくさの向こうにある、中国の主張する「新しい国際関係」とはどのような世界観であるかを明らかにします。
 第二に、中国は「韜光養晦」(能力を隠す)の外交方針から、二〇〇九年に「堅持韜光養晦 積極有所作為」(韜光養晦を堅持して、やれることを積極的にやる)方針へ切り替えました。また「21世紀のシルクロード」を唱えて中央アジアに積極的にアプローチすると同時に、ロシア、インド、中東、ヨーロッパとの関係も再構築しようとしています、その方向性をどのようにとらえるべきか。そして唯一の超大国にして衰えつつあるかにも見えるアメリカを、中国がどう評価し、対峙していくかがカギになります。
 第三に、習近平体制下の中国は、対米関係、中央アジアや周辺外交政策において、日本をいかに位置づけているか。そこから、2020年前後の近未来における日中関係がどうなるかを展望します。
 読み終えたとき、読者の視界が少しでもひらけたように感じられたなら、本書のねらいは達せられたことになりますし、そうなると信じて本書を送り出します。