「痛苦の感銘」既刊・関連作品一覧

  • 電子あり
痛苦の感銘

七〇年代、八〇年代は世界史の転換期であった。「愚哲」が組織を離れたそのときの秘密がいまはじめて開示される。「ぼく」に接近する謎の革命家・宋東奎(ソンドンギュ)。はたして北朝鮮の武装革命路線は正しいのか。その反省から新しい民主主義を探求し、「自生的社会主義」思想が生まれようとしていた。とはいえ、その時期、韓国では金大中事件、大統領狙撃事件、光州抗争、拉致疑惑などが相次いで起こっていた。隠された歴史的事件の真相は、いままさに白日の下に晒されようとしている。その歴史の亀裂は、日本と南北朝鮮そして在日の間にも波紋を引き起こす。サハリン朝鮮人(カレイスキー)の抑留はどこまで続くのか。北朝鮮に帰国した趙一族の崩壊、それは小さいこととはいえ、埋もれた民衆史の一つの暗喩たりうるだろう。愚哲はドン・キホーテよろしく挫折しては起き上がろうとする……。