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子産

信義なき世をいかに生きるか
孔子に敬仰された賢相・子産と武にすぐれたその父・子国。父子2代にわたる勇気と徳の生涯を辿る珠玉の歴史叙事詩!

──哀れな国だ。
子産の目は憂色にみちている。君主の時代が終わり、大夫たちが主権を争う春秋時代のなかば、中原の小国・鄭は晋と楚という2大国の間で向背をくりかえしていた。いまや民は疲弊し、国は誇りを失おうとしている。乱世の戦場にあざやかな武徳をしめす名将・子国の嫡子に生まれ、この時代最上の知識人となる子産は、信義なき自国の悲哀をみつめながら波蘭の人生へと踏みだしてゆく。