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絞首刑

かくして貴方は、そのボタンを押す――
「存置」か「廃止」か、ではない。描かれるのは、徹底的にリアルな風景だけ

2009年5月21日、裁判員制度が導入された。実際に市民が裁判員となって行われる刑事裁判は今夏、初めて開かれる。これで貴方も、どこかの誰かを死刑にする可能性を得た。
あなたは死刑に賛成か、反対か――。人が死刑を口にするとき、死刑制度について「存置」する考えか、それとも「廃止」派か、という二元論に陥りやすい。加害者の側に立とうが、被害者遺族の側に立とうが、常にどちらに立つのかが問われる。
だから本書は、その議論に欠落している「現場」に徹底的にこだわった。加害者本人や被害者遺族はもちろん、拘置所関係者、教誨師、検察庁幹部……。死刑に携わるありとあらゆる人間から話を聞いたうえで、その立場、立場の目線を、時に一人称でリアルに伝えた。4人を殺害した“少年”たちは、いま何を思うのか。そして、自らの手で死刑を確定させた男は、「死を受け入れたのだから、反省しない」という酷薄な論理を展開する。これらのリアルは、例の二元論を軽く飛び超え、新たな切っ先を我々に突きつける。

描かれるのは、執行のボタンを押すという「作業」のあられもないリアル、そして当事者が絞り出した彼らのみが知りうる心情。
論評を排し、乾いた目線で描かれる事実の持つ迫力は、死にかけた「ノンフィクション」という言葉への挑戦でもある。