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疑惑

半次に白羽の矢が立った

侍3人が拝領屋敷に居座った。
先例にならえば屋敷は収公、江戸中がてんやわんやの騒ぎになる。
困った年番与力は、半次を呼び出した。

「いるか」
久しぶりに聞く。疫病神の声だ。
半次は返事をせずに煙管に刻みを詰めた。
蟋蟀小三郎はずかずかとあがってきていう。
「いるなら返事くらいしろ」
半次はぷかりと煙を吹かしていった。
「用はなんです?」
「おぬし、上総屋と揉めてるんだってなあ」
「誰に聞いたんです」
「よかったら一口乗せろ。このところ金欠だ」