内容紹介
「私はどこから来たのか」
心の内奥から発する根源的な問いを挟んで向き合う二つの精神
<内容紹介>
現実よりも自身の裸の心を守り抜こうとした詩人と、その世界に深く共感するがゆえに背反せざるをえない知性で武装された批評家――。「自分が人間であることのすべてを負っている」と言うほど絶対的な影響を受けた中原中也の特異な生の在り様を「内部の人間」と名付け、小林秀雄の戦後の歩みに「ヴァニティ」(中原中也)を超えた人間探究の軌跡を見出す、秋山駿の出発点。
井口時男「解説」より
中原と小林とは「同じ場所から出てきた」というところが秋山駿の独自の洞察である。つまり、小林がボードレールに託して「自意識の球体」と呼んだこともある「内部」を、秋山は「誰の存在の底にも口を開いている、人間のもっとも根本的な底部、いわば生存の基体となるもの」へと、存在論的な磁場へと、引き寄せるのだ。
目次
- 小林秀雄
- 小林秀雄の戦後
- 自己回復のドラマ──小林秀雄の一面──
- 小林秀雄の「神」
- 小林秀雄と文体──彼はわれわれのなかの、どこにいるか
- 中原中也
- 中原中也
- 内部の人間──中原中也の場合
- 中原中也の詩
- 小林秀雄と中原中也 ──あとがきにかえて
- 解説 井口時男
- 年譜
- 著書目録
製品情報
製品名 | 小林秀雄と中原中也 |
---|---|
著者名 | 著:秋山 駿 |
発売日 | 2018年01月12日 |
価格 | 定価 : 本体1,600円(税別) |
ISBN | 978-4-06-290369-1 |
判型 | A6 |
ページ数 | 256ページ |
シリーズ | 講談社文芸文庫 |
初出 | 本書は、『小林秀雄と中原中也』(1973年1月、第三文明社「レグルス文庫」刊)を底本としました。 |
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