戦争、占領、基地に呻吟し続ける沖縄の心を鮮やかに描出する秀作十篇。
独自の文化の基層をもつ美ら国・沖縄。また、戦争・占領・基地に、今なお翻弄される沖縄の心を鮮烈に描出する秀作短篇十。
大城立裕「棒兵隊」
安達征一郎「鱶に曳きずられて沖へ」
又吉栄喜「カーニバル闘牛大会」
山入端信子「鬼火」
目取真俊「軍鶏」
大城貞俊「K共同墓地死亡者名簿」
長堂英吉「伊佐浜心中」
崎山麻夫「ダバオ巡礼」
山之口獏「野宿」
崎山多美「見えないマチからションカネーが」
川村 湊
(近代の)作品が、そうした“二重性”(日本本土と沖縄)の葛藤にその存在の根を下ろしていたのに対し、沖縄の「戦後小説」は、むしろ日本を相対化するアジア的な広がりや、アメリカと対峙する沖縄の政治的な緊張関係のなかに位置づけられていたといってもよい。(中略)それは、戦前のヤマト世(ゆ)としての日本の半植民地支配、そして戦後のアメリカ軍政支配下の時代(いわゆるアメリカ世(ゆ))の双方から沖縄が独立することの方向性を模索していた(後略)。――<「解説」より>
※本書は、下記の雑誌及び刊本を底本として使用しました。
安達征一郎『憎しみの海・怨の儀式』インパクト出版会/2009年5月
大城貞俊『G米軍野戦病院跡辺り』人文書館/2008年4月
大城立裕『大城立裕全集9』勉誠出版/2002年6月
崎山麻夫『沖縄短編小説集2』琉球新報社/2003年5月
崎山多美「すばる」集英社/2006年5月
長堂英吉『エンパイア・ステートビルの紙ヒコーキ』新潮社/1994年2月
又吉栄喜『パラシュート兵のプレゼント』海風社/1988年1月
目取真俊『魂込め』朝日新聞社/1999年8月
山入端信子『沖縄文学全集9』国書刊行会/1990年9月
山之口獏『沖縄文学全集6』国書刊行会/1993年3月
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