天皇と天下人

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天皇と天下人
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内容紹介

戦乱から洛中を護り、窮乏する禁裏の儀礼資金をどう調達するか、天皇は苦心し、幕府や信長、秀吉、家康ら天下人の力を頼みとする。一方、天下を掌握し、自らの権威を誇示するために天皇権力を利用する天下人。両者の探り合い、駆け引きはどのようなものであったのか。天下人の力に圧倒されながら、天皇が保持した権威とはどのようなものであったのか。宸翰、日記、消息などの史料を駆使して天下人と対峙した天皇の実像を克明に描く


■天下布武を目指す信長と正親町天皇の虚々実々の駆け引き
近江を焼き尽くし足利義昭とともに入京した信長は、天皇にとって脅威であり、敵であったが、天下布武を掲げ猛進する信長に、一転、天皇は禁裏の警固を申しつけ、さまざまな機会に自らの側に取り込もうとする。しかし、信長はその誘いに容易には乗らず、自らに必要な時には朝廷に接し、天皇権力を利用しながらもつかず離れずの態度をとり続ける。ついには、正倉院の名香「蘭奢待」の切り取りを申し出る信長。信長の振る舞いに怒りを表すが、申し入れを認めるしかなかった天皇の胸中はいかなるものであったか。天皇と信長の間で展開する駆け引きの様相を描き出す。
■頂点を極めた秀吉と後陽成天皇
本能寺の変後、力をつけていった秀吉は禁裏費用を用立てるなど、たびたび参内し自ら朝廷に接近し、ついに関白職を手にする。頂点にのぼりつめた秀吉は、その権勢を後陽成天皇の聚楽第行幸という形で誇示した。天皇が臣下の屋敷へ行幸するのは151年ぶりのことであった。さらに、朝鮮攻略戦が快進撃を続けると、自ら渡海し明まで手中に収め、さらに皇居を北京に移すという三国国割構想を打ち上げた。後陽成天皇は秀吉をどのように思い止まらせたのか。権勢をほしいままにする秀吉に天皇がどう対応したかを探る。
■近世前期の天皇の将軍の関係を象徴する神号決定の経緯
勅定によって決められる神号は天皇の権威を示す。秀吉は死を前にして「八幡」神号を望んだが、後陽成天皇はそれを認めず「豊国大明神」と決めた。一方、家康の神号「東照大権現」は秀忠の意向に従って決められた。将軍側優位のもとに進められ、後水尾天皇の役割はそれを調えるにすぎなかった。神号決定の過程から天皇と将軍との関係を詳細に説く。

目次

  • プロローグ――正親町天皇のキリシタン禁令
  • 義昭・信長の入京
  • 1. 義昭・信長入京以前
  • 2.義昭・信長の入京
  • 3.義昭への将軍宣下
  • 4.領地等の回復
  • 5.禁裏費用の確保
  • 6.戦争と天皇
  • 7.義昭・信長の位置  
  • 正親町天皇と信長
  • 1.信長の天下掌握
  • 2.探り合う天皇と信長
  • 3.天皇と戦国大名
  • 4.信長の朝廷への攻勢
  • 5.信長の戦いと天皇
  • 6.禁裏・天皇と距離を置く信長  
  • 天下人秀吉の誕生
  • 1.本能寺の変とその直後
  • 2.朝廷に接近する秀吉――関白任官
  • 3.戦いと天皇  
  • 第四章 後陽成天皇と朝鮮出兵
  • 1.後陽成天皇の即位と聚楽第行幸
  • 2.北京への移徙――朝鮮出兵
  • 3.対明講和交渉と後陽成天皇
  • 4.晩年の秀吉と後陽成天皇
  • 後陽成・後水尾天皇と家康
  • 1.譲位一件と豊国大明神
  • 2.天下人家康
  • 3.家康への将軍宣下
  • 4.後陽成天皇の譲位と後水尾天皇の即位
  • 5.後水尾天皇即位後の朝廷
  • 6.豊臣家滅亡と禁中*并公家中諸法度
  • エピローグ――「権現」か「明神」か

製品情報

製品名 天皇と天下人
著者名 著:藤井 讓治
発売日 2011年05月24日
価格 定価 : 本体2,600円(税別)
ISBN 978-4-06-280735-7
判型 四六変型
ページ数 374ページ

著者紹介

著:藤井 讓治(フジイ ジョウジ)

(ふじい・じょうじ)
一九四七年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。
現在、京都大学教授。専攻は日本近世政治史。
主な著書に『江戸幕府老中制形成過程の研究』(校倉書房)、
『日本の歴史12 江戸開幕』(集英社)、『徳川家光』(吉川弘文館)、『幕藩領主の権力構造』(岩波書店)、『徳川将軍家領知宛行制の研究』(思文閣出版)などがある。
本シリーズ編集委員。