内容紹介
15世紀後半~18世紀後半、4万人以上の魔女が殺戮された。中世ではなく、近代黎明期に魔女狩りが大流行したのはなぜか? 「魔女狩りとは何か」という問いかけは、「ヨーロッパ近代とは何か」とイコールである。魔女狩りとヨーロッパ近代誕生の関係を新視点から解き明かす。視覚文化論、哲学、宗教学的な知見を盛り込み、魔女狩りの歴史研究を通したヨーロッパ近代化論、および人間存在と人間文化を探究した冒険的著作です。
15世紀後半にはじまり十八世紀後半まで、トータルで4万人以上が狩られた魔女たち。
中世ではなく、近代の黎明期に魔女狩りが大流行したのはなぜなのか?
近代社会初頭に起こったことを考えると、「魔女狩りとは何だったのか」という問いかけは、「ヨーロッパ近代とは何なのか」という問いを呼び込む。
本書は、魔女狩りとヨーロッパ近代誕生の機制の関係を新視点から明らかにします。その視点とは、三つの近代化です。「視覚を中心とする感覚の近代化」「自然認識の変容と近代化」「他者・社会的周縁者の排除と近代化」。
視覚文化論、哲学、宗教学的な知見をふんだんに盛り込んで、魔女狩りの歴史研究を通したヨーロッパ近代化論、および人間存在と人間文化を探究した冒険的著作です。
目次
- はじめに
- 第一章 異端から魔女へ――中世末
- カタリ派と「魔女」/異端審問と魔女裁判/ユダヤ教徒と「魔女」/ワルド派と「魔女」/本当に見たのか/年代記作家フリュントの報告/十五世紀の教会改革者ニーダー/『蟻塚』における魔女情報の提供者/『蟻塚』の「魔女」記述/『司教法令集』と「魔女の飛行」/ニーダーの女性観 /マルタン・ル・フラン『貴婦人たちの擁護者』/「反自然」としての魔女の行為/想像から現実へ
- 第二章 魔女熱狂時代前夜――十五世紀
- 『魔女の槌』/クラーメルの魔女狩り/『魔女の槌』における視覚と経験/「超・自然」と「脱・自然」/他者としての女性/モトリールの魔女信仰批判/ドミニコ会・フランシスコ会の魔女論争/スピーナの『魔女探究』/ルネサンス人文主義者の魔女論争/法学者アルチャーティの魔女論/オカルト哲学者アグリッパと魔女弁護/終末観の瀰漫と宗教改革の時代/カルヴァンの場合/視覚メディアと魔女表象
- 第三章 バロック時代の中の魔女裁判――十六・十七世紀
- 視覚とバロック/王権と魔女狩り/ド・ランクルという人間/フランス王国の周縁地バスクと魔女/バスク人の生業/悪魔化される民衆文化/女は魔法使いである/バスク人女性と魔女/ド・ランクルの「視覚的・認識論的錯誤」/魔女・悪魔と「反・自然」/魔女と国家/王国の自己同一化と魔女の意味/バロック・サバト/サバトにおける聖体奉挙/ヴュルツブルクの魔女とバロック/バロック時代の国家・教会と魔女裁判/魔女裁判の方法/魔女の処刑方法
- 第四章 魔女裁判の終焉と西欧近代の始まり――十七世紀後半以降
- 『世界図絵』と視覚/『世界図絵』における魔女描写 /十七世紀と視覚の特権化/近世の視覚モードとしてのバロックとデカルトとベイコン/デカルトと魔女信仰/バルタザール・ベッカーの魔女裁判批判書『魔法にかけられた世界』/観察・調査と自然/クリスティアン・トマジウスの魔女裁判批判/物体への眼差し/調査の必要性と魔女裁判の無益/ベイコンと魔女信仰/実験と悪魔の共存/驚異と自然/十七世紀の自然観/ロックにとっての魔女信仰/宗教的寛容の時代/生き続ける他者としての女性
- おわりに
- 参考文献
- 索引
製品情報
製品名 | 魔女狩り 西欧の三つの近代化 |
---|---|
著者名 | 著:黒川 正剛 |
発売日 | 2014年03月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,700円(税別) |
ISBN | 978-4-06-258574-3 |
通巻番号 | 571 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 272ページ |
シリーズ | 講談社選書メチエ |
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