内容紹介
小説の中の「私」とは、誰なのか?
新世代の小説家たちが切り開いてきた現代文学の新たな地平の持つ意味を、
小林秀雄以来の文芸理論を徹底的に検証しつつ探った、まったく新しい小説論。
「役割を終えた」近代文学を更新する!
渡部直己と私の対立の軸は「産出性=こう書くゆえに、世界はこう生まれる」と「再現論=世界がこう見えるから、こう書く」のいずれに軍配を上げるか、ということになるのだが、私は依然として、むしろ今や(今こそ)重要なのは後者、つまり「世界がこう見えるから、こう書く」「見たままを書いている」の方なのだと考えており、(中略)要するに「見たまま」ということ自体が変化しているのだ。そして「見たままを書いている」とは、すなわち「私が見たままを書いている」ということである。とすれば、この「私」もまた変化しているのではあるまいか。私が「新しい『小説』のために」で論じてきた「描写」や「人称」に続いて「私小説」を問題にしなくてはならないと思い至ったのは、これが理由である。
――第二部「新・私小説論」より
目次
- 第一部 新しい「小説」のために
- 第一章 リアリズムの末流
- 第二章 『新しい小説のために』のために
- 第三章 近代文学vs近代絵画
- 第四章 「小説」の上演
- 第二部 新・私小説論
- 第一章 「私の小説」と「一人称の小説」
- 第二章 『私小説論』論
- 第三章 反(半?)・私小説作家たち
- 第四章 「一人称」の発見まで
- 第五章 いわゆる「移人称」について
- 第六章 新しい「私」のために
- 跋 批評の初心
- あとがき
製品情報
製品名 | 新しい小説のために |
---|---|
著者名 | 著:佐々木 敦 |
発売日 | 2017年10月26日 |
価格 | 定価 : 本体2,700円(税別) |
ISBN | 978-4-06-220805-5 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 528ページ |
初出 | 「群像」|「リアリズムの末流」…2013年4月号、「『新しい小説のために』のために」…2013年7月号、「近代文学 vs 近代絵画」…2013年11月号、「「小説」の上演」…2014年4月号、6月号、7月号、「「私の小説」と「一人称の小説」」…2015年10月号、「『私小説論』論」…2015年11月号、12月号、2016年2月号、「反(半?)・私小説作家たち」…2016年4月号、6月号、7月号、9月号、「「一人称」の発見まで」…2016年11月号~2017年2月号、「いわゆる「移人称」について」…2017年3月号、5月号、6月号、「新しい「私」のために」…2017年7月号。「批評の初心」…「新潮」2013年4月号。 |
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