ぼくは科学の力で世界を変えることに決めた

ボクハカガクノチカラデセカイヲカエルコトニキメタ
  • 電子あり
ぼくは科学の力で世界を変えることに決めた
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内容紹介

治療が難しいガンの早期発見法を開発した15歳
いじめ、うつ症状、恩人の死……多くの困難を乗り越え、前に進み続ける科学少年の物語

(本文より)
高校1年の中間地点を過ぎてすぐのある日、ぼくは「単層カーボンナノチューブ」と呼ばれる物質に関する論文を生物の授業にこっそり持ち込んでいた。単層カーボンナノチューブというのは炭素でできた微細な細長い管のことで、その厚みは原子1個分、直径は人間の髪の毛の5万分の1だ。その非常に小さなサイズにもかかわらず、カーボンナノチューブには驚くべき特性がある。言わばそれは、材料科学におけるスーパーヒーローなのだ。
 生物の先生は、ぼくの注意力散漫を目ざとく感じる不思議な第六感を持っていた。目が頭の後ろにあるだけじゃなくて頭の横にもあるらしかった。
 ぼくが論文を机の下に隠して読んでいたときの授業のテーマは、抗体と呼ばれる興味深い分子のことだった。抗体はとても有益な分子で、特定のタンパク質にだけ反応し、免疫系によってウィルスや細菌を撃退するのに使われる。
 ぼくが突然ひらめいたのは、その授業の最中だった。実際に読んでいるもの(カーボンナノチューブ)と、授業で学んでいるはずのこと(抗体)を組み合わせたらどうなる!?
 ナノチューブと抗体を混ぜ合わせれば(スパゲティにミートボールを混ぜるみたいな感じ)、一種類のタンパク質――この場合はメソテリン――にしか反応しないネットワークが手にできる。メンテリンが抗体に反応すると、免疫複合体と呼ばれる大きな分子が形成される。この巨大な分子が形成されると、隣接するナノチューブが孤立分散されるので、ネットワークが拡大する。ちょうど、束ねられたワイヤをほぐして、一本一本分散させるようなものだ。これが生じると、隣接するナノチューブ同士の結びつきが減るので、電子の経路も少なくなり、電気抵抗が増す! こうしてナノチューブの電気特性が変化するわけだが、その変化なら、ぼくにも測定できる!
 僕の頭の中で、すべてのパズルのピースがはまっていって・・・・・・そして・・・・・・粉砕されたのだった! ブレイクスルーの最中に、生物の先生がぼくの机めがけて突進してきたのである。その顔は怒りにゆがんでいた。ああ、またしても。(本文より抜粋)

目次

  • はじめに 家族会議
  • 1 アンドレイカ家に生まれて
  • 2 サイエンスフェアと「いじめ」
  • 3 カミングアウトと大事な人の死
  • 4 宿敵の膵臓がん
  • 5 患者のことを忘れないで
  • 6 193番目の奇跡
  • 7 キャンサー・ペーパー・ボーイ
  • 8 うわっ! モーリー・セイファーを殺しちゃった
  • 9 ブレイクスルー
  • 付録 ジャックの学校 実験+ヒント+情報

製品情報

製品名 ぼくは科学の力で世界を変えることに決めた
著者名 著:ジャック・アンドレイカ 著:マシュー・リシアック 訳:中里 京子
発売日 2015年11月20日
価格 定価 : 本体1,600円(税別)
ISBN 978-4-06-219800-4
判型 四六
ページ数 272ページ

著者紹介

著:ジャック・アンドレイカ(ジャック・アンドレイカ)

ジャック・アンドレイカ Jack Andraka
1997年、アメリカ・メリーランド州生まれ。科学好きな少年に育つ。2012年、高校生のときに膵臓・卵巣・肺がんを早期発見するための安価な検査法を発明し、インテル国際学生科学技術フェア(ISEF)のゴードン・E・ムーア賞を受賞。その後もスミソニアン・アメリカン・インジェニュイティー・ユース・アチーブメント賞(2012年)、シーメンス・ウィー・キャン・チェンジ・ザ・ワールド・チャレンジ最優秀賞(2014年)、ジェファーソン賞(同)などを相次いで受賞する。現在は世界中を回り、手がけている研究、LGBTやSTEM(科学・技術・工学・数学)教育改革に対する考えなどを伝え続けている。彼の話は、モーガン・スパーロック監督の『ユー・ドーント・ノウ・ジャック』をはじめとするドキュメンタリーや、数多くのラジオ番組、新聞記事、雑誌記事で取り上げられた。ホームページは、www.jackandraka.com。

著:マシュー・リシアック(マシュー・リシアック)

マシュー・リシアック Matthew Lysiak
ジャーナリスト。ニューヨーク・デイリーニューズ紙の元記者。著書に『ニュータウン――アメリカの悲劇』がある。トゥデイ、MSNBC、フォックスニュース、CNNをはじめ、数多くの全国・地方メディアに登場している。ホームページはwww.matthewlysiak.com。

訳:中里 京子(ナカザト キョウコ)

中里京子 Kyoko Nakazato
翻訳家。早稲田大学教育学部社会科卒業。20年以上実務翻訳に携わった後、出版翻訳の世界に。主な翻訳書に『ハチはなぜ大量死したのか』(文春文庫)、『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』(講談社)、『依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実』(ダイヤモンド社)、『交渉に使えるCIA流 「嘘」を見抜くテクニック』(創元社)ほか。不妊・生殖補助医療に関する国際学会の事務局も担当している。

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