内容紹介
英訳された「短編」を徹底的に読み込むことによって、初めて見えてきた、小説家としての村上春樹の「闘い」。現代文学のトップランナーの核に迫る、決定版「村上春樹」論!
なぜ、村上春樹は世界を必要としてきたのか?
「中国行きのスロウ・ボート」「貧乏な叔母さんの話」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」という初期短編三部作の初々しさはなぜか。「午後の最後の芝生」「蛍」など、『羊をめぐる冒険』以後の「喪失」をめぐる短編はどこからやってくるのか。『パン屋再襲撃』にまとめられる『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』以後の短編群の達成は「マクシム」の崩壊という概念でくくれるのではないか。「TVピープル」「眠り」など、『ノルウェイの森』以後の短編には、極度の精神的失調と危機の刻印が認められるが、一方その後の「沈黙」「七番目の男」などには、その危機を通過して手にされた新境地が現れていること。「めくらやなぎと、眠る女」改稿をめぐる1995年の転回の意味を明らかにするには、村上春樹の短編世界という概念を必要とするだろうこと。英語での授業を踏まえて日本語で執筆するなかで、多くの発見があった。――<「あとがき」より>
製品情報
製品名 | 村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 |
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著者名 | 著:加藤 典洋 |
発売日 | 2011年08月27日 |
価格 | 定価 : 本体3,600円(税別) |
ISBN | 978-4-06-217030-7 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 610ページ |
初出 | 『群像』2009年9月号~2011年4月号 |