ヨハネス・コメニウス 汎知学の光

講談社選書メチエ
ヨハネスコメニウスハンチガクノヒカリ
  • 電子あり
ヨハネス・コメニウス 汎知学の光
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内容紹介

本書は、ヨーロッパの知られざる巨人ヨハネス・アモス・コメニウス(1592-1670年)の全貌を明らかにする本格的概説書である。日常生活の中で知らないことに出会ったとき、私たちはインターネットを開いて検索する。その時その場のニーズに合わせて無数にある情報にアクセスできるが、この「参照」という行為を意識することはほとんどない。しかし、歴史を振り返れば、誰もがさまざまな情報を自由に参照できるようになったのは、つい最近のことにすぎないことに気づく。そして、それを可能にした人こそコメニウスだった。
『世界図絵』(1658年)を開けば、150項目に分類された多岐にわたる事象が取り上げられ、それぞれの項目に対応した絵が挿入されているのを目にする。コメニウスは言う。この書で示したのは「世界全体と言語のすべての概要」である、と。それを手軽に学べるようにすることこそ、コメニウスが実現したものである。それゆえ彼は近代教育学の祖とされるが、しかしコメニウスをある学問領域に押し込めては理解できない。
「世界全体と言語のすべて」を把握しようとした背景には、コメニウスがヤン・フス(1370頃-1415年)の系譜に連なる神学者だったという事実がある。自身の内面に向かう宗教を捉えるとき、コメニウスは社会への視点を忘れなかった。そうして内面と社会のあいだで揺れる姿を描き出したのが、小説『地上の迷宮と心の楽園』(1631年)である。「迷宮」としての「地上」の世界で、いかにして「心の楽園」を実現するのか。その問いに導かれて、コメニウスは実際にさまざまな社会の問題に関与していく。ヨーロッパを遍歴しながら数多くの君主との関係が生まれ、政治的活動を行った。こうした多様な活動を支えていたのが哲学である。ルネサンスの諸学問に取り組んだコメニウスは、あらゆる事柄を独自の世界観で再構成した知の体系を構想し、それを「汎知学(パンソフィア)」と呼んだ。それは『人間的事柄の改善についての総合的熟議』という大著に結実する。
このように多様で巨大な存在であるコメニウスを、著者は「光」をキーワードにして読み解いていく。人間は世界から光を受け取り、みずからもまた光を発する存在である。無数の光が飛び交うこの世界の中に「心の楽園」を築き上げること。困難に満ちた世界の中で、この偉人を知ることには絶大な意味がある。

目次

  • 序 章 コメニウスに光を
  • 第一章 地上の迷宮
  • 1 コメニウスの目に映った世界
  • 2 戦争と政治
  • 3 破れた天蓋
  • 4 組み換えられる知
  • 5 富の揺らぎ
  • 6 人間へのまなざし
  • 第二章 パンソフィアにおける人間と世界
  • 1 ルネサンスの黄昏と近代の薄明
  • 2 パンハルモニア(汎調和)の世界
  • 3 可能性としての世界と人間
  • 4 光の形而上学とその方法
  • 5 技術の現れとしての歴史
  • 6 哲学とコメニウスのあいだ
  • 第三章 開かれた心への教育
  • 1 生ける印刷術
  • 2 理念への技術
  • 3 世界と学校
  • 4 光への教育/光としての学び
  • 第四章 言語への開かれた問い
  • 1 問題としての言語
  • 2 言葉と事物の周辺
  • 3 普遍言語の探求
  • 第五章 地上の平和への道
  • 1 総合的熟議
  • 2 三つの国際機関
  • 3 一七世紀ヨーロッパ政治の中で
  • 4 自発性への力
  • 第六章 闇の中に光を
  • 1 神と人間の協働
  • 2 宗教平和への努力
  • 3 希望の源泉
  • 第七章 歴史への贈与
  • 1 啓蒙主義と民族主義の中で
  • 2 「諸国民の教師」コメニウス
  • 3 コメニウスの近代化
  • 4 再考され続けるコメニウス
  • 文献一覧
  • あとがき
  • 年 譜

製品情報

製品名 ヨハネス・コメニウス 汎知学の光
著者名 著:相馬 伸一
発売日 2017年04月11日
価格 定価 : 本体1,850円(税別)
ISBN 978-4-06-258649-8
判型 四六
ページ数 320ページ
電子版製品名 ヨハネス・コメニウス 汎知学の光
シリーズ 講談社選書メチエ

著者紹介

著:相馬 伸一(ソウマ シンイチ)

1963年、札幌生まれ。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。博士(教育学)。現在、広島修道大学人文学部教授。主な著書に、『教育思想とデカルト哲学』(ミネルヴァ書房)、『教育的思考のトレーニング』(東信堂)ほか。主な訳書に、コメニウス『地上の迷宮と心の楽園』(監修、東信堂)、『ヤン・パトチカのコメニウス研究』(編訳、九州大学出版会)ほか。

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