金太郎の母を探ねて 母子をめぐる日本のカタリ

講談社選書メチエ
キンタロウノハハヲタズネテハハコヲメグルニホンノカタリ
  • 電子あり
金太郎の母を探ねて 母子をめぐる日本のカタリ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます

内容紹介

まさかりをかついで熊にまたがり、「金」の字が染め抜かれた真っ赤な腹掛けをしている子供。──日本人なら誰でも知っている「金太郎」です。
では、その金太郎のお母さんは誰だったか? そう問われて答えられる人は決して多くないでしょう。しかも、その母は妖怪だった、と言われたら驚かずにはいられないのではないでしょうか。本書は、金太郎の母が、奥山に住み、人を食らう恐しい鬼女「山姥」であるという事実から出発し、母の行方を追って古代から中世を旅していく書です。
金太郎は長じてから京で源頼光とともに「酒呑童子」を退治します。田舎の力自慢の子供が逞しい大人に成長し、都を苦しめていた山の怪物を討つ、というストーリーは英雄にふさわしいものでしょう。その母が山姥なのだとしたら、子供である金太郎もまた妖怪ということになってしまう。もちろん、これは都合の悪い事実です。だからこそ、母と子を引き裂き、母を見えないようにしてきた歴史が私たちの視界から隠されてきました。歴史の闇から金太郎の母を救い出さなければなりません。
中世から古代へ、そして再び中世へとめぐっていく本書の旅は、至る所で「母子神信仰」というキーワードと出会うことになるでしょう。御伽草子に見られる物語「熊野の本地」には、首を斬られ、肉体は朽ちているのに、わが乳飲み子のために乳房だけ残して乳を出す母、という異形が描かれています。「母は子のためなら鬼にも蛇にもなる」と著者が言うとおり、ここには決して切り離せない母子の関係があります。そして、「母子神信仰」を手がかりに旅を続けていった果てでは、「金太郎は日本人の祖である」という驚愕の事実と出会うことになるでしょう。
さあ、金太郎の母を求める旅に出かけましょう!

目次

  • はじめに
  • 第一章 中世の神女──妖怪となった母
  • 1 「熊野の本地」──死んでもなお……/2 「山中赤子誕生譚」──山で赤子が生まれる/3 「山中常盤」──その小袖一枚……/4 『孕常盤』──胎内にて殺す子もあり……/5 「和泉式部の足袋」──異類婚姻譚の母/6 鹿母夫人・尊き母──ありがたき黄金水・小水/7 瘡薬師──病を治す奇跡の水/8 母神・和泉式部の"泉"──神の子を生むための産湯/9 『玉造小町子壮衰書』──玉の如き男児
  • 第二章 神話の処女──赤子がカタる母のこと
  • 1 海の赤子・ウガヤフキアワセズ──足立たぬ赤ん坊・未完成の産屋/2 山の赤子・川上大明神──一人で産湯に浸かった赤ん坊/3 ヒルコ、愛し子──この赤子より始まる/4 異形の母は「山姥」──子が明かす母神の正体
  • 第三章 安産と産婆──神功皇后と岩田ヒメ
  • 1 オキナガタラシヒメ──身一つ/2 ヒメ神とハチマン──原八幡信仰/3 ヒメ神と御子──母子神信仰/4 ちはやぶる──産屋の血/5 『八幡宇佐宮御託宣集』──宇佐八幡の母神・子神、そして父神/6 海に沈む赤子──子を海辺に捨てる母/7 神功皇后は天之日矛の孫──処女懐胎説話と出石
  • 第四章 金太郎の母──昔話の「三太郎」
  • 1 昔話を神話にあずける──昔話を取り戻す/2 浦島太郎──神功皇后とご親戚/3 龍宮童子──富をもたらす赤子/4 桃太郎──オオカムツミの神/5 金太郎の母──播磨の道主日女の命/6 別雷神──父も雷神/7 足柄山の金太郎──頼光の愛し子
  • 第五章 人柱伝承の母子──鶴と市・八幡信仰
  • 1 母子合体──子の持つ呪力/2 長柄の人柱──子を負いたる母/3 帯金権現──子殺し/4 鶴市神社──「市太郎」神社/5 鶴女房──子は生まれたか
  • 第六章 あらち山の山姥──あらち山の金太郎
  • 1 能「山姥」──「百ま山姥」が背負う子/2 あらち山・神の御産──荒血山・荒乳山
  • 第七章 流されるヒメ──神となるための残酷
  • 1 手杵祭──母は殺されたか、子は生き延びたか/2 「正八幡宮縁起」──七歳のヒメと三歳の童子/3 再びみずみずしき乳房──首のない母/4 金太郎の神名──ウガヤフキアワセズの命
  • おわりに

製品情報

製品名 金太郎の母を探ねて 母子をめぐる日本のカタリ
著者名 著:西川照子
発売日 2016年04月11日
価格 定価 : 本体1,550円(税別)
ISBN 978-4-06-258624-5
判型 四六
ページ数 216ページ
電子版製品名 金太郎の母を探ねて 母子をめぐる日本のカタリ
シリーズ 講談社選書メチエ

著者紹介

著:西川照子(ニシカワテルコ)

神奈川県生まれ。出版・編集企画制作集団エディシオン・アルシーヴ主宰。専門は民俗学。主な著書に、『神々の赤い花』(平凡社、1990年)、『昔話のむかし』(エディシオン・アルシーヴ、1997年)、『幻の、京都』(光村推古書院、2014年)ほか。主な編著に、『日本の伝統工芸7 京都』(ぎょうせい、1985年)、『人間の美術7 バサラと幽玄』(学習研究社、1991年)、『花』、『京老舗』(以上、淡交ムック)、『白川静の世界』、『陰陽の世界』、『カタリの世界』、『梅原猛の世界』(以上『別冊太陽』)ほか。また、南方熊楠についての論考がある。

オンライン書店で見る