子ねずみのチッくんは、病気でねているお母さんねずみと“ふたり”暮らし。戦争末期の、食べるものもない時代でしたが、ご主人の千倉少尉から乾パンやコンペイトウをもらっては、おなかをいっぱいにしていました。 ある日の夜、千倉少尉はチッくんに『よだかの星』という本の話をしてくれました。それは、みにくい鳥のよだかが、乱暴者のたかにいじめられて、空にのぼって星になってしまうお話でした。 戦火は次第に激しさをまし、少尉とチッくんにも別れのときがやってきました----。
著者/手島悠介(てしまゆうすけ)1935年、台湾市高雄市に生まれる。戦争末期、台湾各地を転々と疎開し、10歳のとき引き揚げる。学習院大学文学部哲学科中退。雑誌のライターを経て、児童文学を執筆する。主な作品に『かべにきえる少年』『がんばれ! 盲導犬サーブ』『天国へいったサーブ』『日本のみなさんやさしさをありがとう』(以上、講談社)『大地震が学校をおそった』『裁判とふしぎなねこ』(以上、学研)、「かぎばあさん」シリーズ(岩崎書店)などがある。
画家/岡本颯子(おかもとさつこ)1945年生まれ、武蔵野美術大学芸能デザイン科卒業。絵本・児童書の挿絵を中心に、舞台衣装のデザインの仕事にたずさわっている。絵本に『はっぱのきつねさん』(あかね書房)、『まるまるまるごといただきます』(ポプラ社)、挿絵に手島悠介氏と組んだ「かぎばあさん」シリーズ(岩崎書店)などがある。