噴煙をあげる三原山に、女子大生が2人登っていった。だが、夜更けに下山してきたのは1人きりだった。ちょうど1ヵ月前にも、まったく同じことがあった。自殺願望の友人2人に、それぞれ三原山まで同行して、底知れぬ火口の縁に佇たせた自殺幇助者鳥居哲代の心理の軌跡を見事に辿り、悽絶な魂のドラマを構築した、高橋たか子の初期長篇代表作。泉鏡花賞受賞。