流域へ 下
ソ連崩壊前夜、故郷を追われた「同胞」の壮絶な体験を聞くために中央アジアを訪れた在日朝鮮人小説家・林春洙は西ドイツでの恋を思い出す。それは背徳の恋であり、祖国の分裂という問題が暗い影を落とす恋でもあった。政治の力に蹂躙された人々との出会いを経て、林春洙は民族、そして人間そのものに思いを馳せる。東西冷戦終結後の世界を見すえ、いち早くなされた文学的達成。
ひとりの在日朝鮮人作家がめぐる人間性回復をめざす旅。
解説、姜尚中
ソ連崩壊前夜、故郷を追われた「同胞」の壮絶な体験を聞くために中央アジアを訪れた在日朝鮮人小説家・林春洙は西ドイツでの恋を思い出す。それは背徳の恋であり、祖国の分裂という問題が暗い影を落とす恋でもあった。政治の力に蹂躙された人々との出会いを経て、林春洙は民族、そして人間そのものに思いを馳せる。東西冷戦終結後の世界を見すえ、いち早くなされた文学的達成。
李恢成
この小説は、中央アジアの高麗人(コリョイン)の問題を基軸にしながら朝鮮半島の南北問題、サハリン、さらには体制下の個人の恋愛問題なども含まれている。人間の心の中の「流域」はそれほど広漠としているということであろうか。――<「著者から読者へ」より>
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