誘蛾灯 二つの連続不審死事件

著:青木 理
定価:968円(本体880円)

上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。――美由紀に騙されたのは、あなたかもしれない。筆者は鳥取に通い、美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ねる。木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が文庫化!


上田美由紀、35歳。小柄で肥満、鳥取のスナックのホステス。彼女の周りで6人の男が死んだ。この事件の背景には、木嶋佳苗事件とは別の深い闇がある。
――美由紀に騙されていたのは、あなただったかもしれない。

2009年秋、30代の太った女二人が、それぞれ男と関係を持ち、カネを貢がせ、死に追いやっていた――。木嶋佳苗事件との共通項の多さから、世間の話題を集めた鳥取連続不審死事件。筆者は鳥取に通い、上田美由紀と面会し、彼女に騙された男たちに取材を重ね、二つの事件は似て非なるものだと確信する。
鳥取の事件の背景にあったのは、日本の地方をじわじわと覆う闇――人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなった田舎で生まれる、弱者が弱者を食い物にする状況――だった。

木嶋佳苗が獄中ブログを始めるきっかけとなり、「私の事件を取材してくれていたら…と思い続けたジャーナリスト」と言わしめた一冊が、大幅加筆のうえ、文庫化!

2009年秋、当時35歳の木嶋佳苗の周囲で、複数の男性が不審死した事件が話題を集めていた。同時期、別の連続不審死事件が浮上する。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。
二つの事件には驚くほど共通点があった。主役はどちらも30代半ばの小柄な肥満体型の女で、亡くなった男たちと肉体関係を持ち、多額のカネを貢がせていた。美由紀に惚れ込んだ男たちのなかには、刑事や新聞記者もいた。
しかし、二つの事件の背景はまったく異なるものだった。佳苗が高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通い、婚活サイトを利用して男を物色していたのに対し、美由紀は過疎の進む鳥取で5人の子どもとボロ家に住み、場末のスナックでターゲットを探していたのだ。
筆者は、事件現場、スナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞く。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。
そうして、木嶋佳苗事件からは決して見えてこない、この事件の深層――地方の貧困との関係があらわになっていく。人が減り、町が廃れ、仕事を失い、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる、弱者が弱者を食い物にする犯罪。それは、いまの日本社会に覆いかぶさろうとしている闇だ。

誘蛾灯 二つの連続不審死事件

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