墓碑銘

著:小島 信夫
定価:1,540円(本体1,400円)

アメリカ人の父親と日本人の母親の許に生まれた、トーマス・アンダーソンこと浜仲富夫。日米開戦を機に、日本人として生きることを強いられる。坊主頭で国民服を着て、剣道を習い、国策映画では悪役アメリカ人を演ずる。そして入営。青い眼の初年兵は、異父妹への想いを支えに、軍隊生活のつらさに耐える。だが、山西省から米兵と対峙するレイテ島に転進。極限状況の中でアイデンティティを問う、戦争文学の白眉。異色の戦争文学……日米混血の日本兵、その壮絶な自己喪失の過程を描く。
〇千石英世 『墓碑銘』はちがう。(略)これは総論ではなく各論なのだ。極私的各論、戦争を極私の次元で、あるいは極私の日常性の次元で捉えようとする小説、しかもその「私」がいつしか消滅する小説、総論としての日本論や政策論へと傾きがちな戦後文学の対極に位置して異次元を開く小説に徹した小説、言語芸術の不思議を具現する小説なのである。(略)それを審美的異物としての小説と呼んでもよい。――<「解説」より>

墓碑銘

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